本研究の目的は,高度な専門業務と人事管理業務を担うナレッジワーカーの管理職であるプレイング・マネジャーの負担軽減を目指した「ポスト成果主義人事制度」の内実を実証的に明らかにすることにある。分析結果の要点は,①人事制度の複雑化は人事担当者と現場の負担感を高めること,②多忙な管理職にとって一見評価しやすい数値評価はきめ細かな管理が必要なため,評価項目の数や種類をシンプルにする必要があること,③ナレッジワーカーのパフォーマンスを高めるには,成長的サポートと情緒的サポートを組み合わせることや,人事評価面接での質問に仮説や配慮を取り入れ,時間と質の両方を追究した工夫が管理職に求められることである。
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