研究課題
本研究は、現代日本の映像コンテンツ産業における全体的な製作提携の構造と業績の関連について、2000年代の製作委員会のネットワーク分析と事例分析を通じて明らかにすることを目的とする。映像コンテンツの制作に際し、製作委員会と呼ばれる時限ネットワーク組織を分析の対象とするとともに、そのなかにおかれた代表的な個別事例の分析を通して、ネットワーク組織の背後にある人材育成や取引慣行など、戦略的提携に基づくコンテンツ開発や流通・マーケティング戦略についての調査を行った。今年度は、前年度に引き続き、現代映像コンテンツ産業のメディアミックスの論理に注目し、製作委員会のデータベース作成を継続し、テレビアニメーションと劇場映画やキャラクターグッズのマーチャンダイジングなどを幅広く手がける最大手X社の協力を得て、30年にわたる制作陣の人的関係とプロジェクト・ネットワーク組織のデータ構築の継続をするとともに、歴代プロデューサーのキャリアに関する定性的なデータ収集と分析を行った。その結果、映像コンテンツ関連企業の保有する事業資源(小売網、デジタル技術、タレントなど)を活かす途を探るため、幅広く流通メディア企業と製作企業そして関連企業との、相互に資源化を可能にする関係性資本があることがわかってきた。一方で、各企業間の資源活用関係の運用の実際は、戦略的提携を管理する個別のプロデューサーなどに依存する。これらのプロデューサー的人材育成の過程とルーティンと取引慣行の変化の発見事実を収集している。これらの調査をふまえ、今後、ネットワークにおける提携組織能力(Alliance capability)の観点を導入することによって、変革期を迎えるメディア産業の経営管理上の含意と理論的含意が得られるだろうと期待される。
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International Hand Book of Innovation Education
巻: (forthcoming) ページ: Chap.45