本研究では当初3種類の研究を計画したが、海外短期派遣の機会を得たため4種類の研究を実施した。 第1の日本のソフトウェア系のスタートアップを対象とする継続研究では、ソフトウェア産業の成長率と起業数の相関、windows95などの技術イノベーションとの起業機会の相関等など定量分析を実施したが新たな事実の発見には至らなかった。 第2のアルプス電気盛岡工場からのスピンオフ企業を対象とする研究では、起業家の学歴、職種によって2期に分かれ、その企業内体験によって「起業機会の発見」及び「起業機会の創出」の双方の事例があることが発見でき、かつ、「発見」と比べ「創出」には時間を要するなどの成果を得た。この結果はBabson College Entrepreneurship Conference (BCERC2011)の審査をパスし学会発表を行った。論文としてもFrontiers of Entrepreneurship Research2011に受領された。 第3の研究として、国内2大学、海外4大学での大学生向けの定量調査の実施、より多くのサンプルの回収を目指したが、最終的には九州大学(学部生、社会人大学院生)、西南学院大学(学部生)、天津大学(学部生、社会人大学院生)のデータが収集できたため、目下、解析を開始した。 第4の研究として、平成23年の9月~11月の3カ月間、アントレプレナーシップ教育の調査のためスウェーデンのチャルマース工科大学に赴任した。この間、教育の進展(修士1年と2年の差)及びそこから起業に至った3社のインタビュー調査を実施できた。同様の調査は同国において、IDEONサイエンスパークで名高いルンド大学でも試みIDEONに入居中の3社に対してもインタビューが実施できたため、今後、日本の事例とスウェーデンの事例の比較検討が可能となった。
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