研究概要 |
研究成果としては白桃書房から出版が確定された「研究成果としては白桃書房から出版が確定された「戦略的組織間協業の形態と形成要因:中国におけるフォルクスワーゲンと現代自動車の事例研究」がある。本書の主要な問題意識と結論は以下の通りである。 本研究では、組織間協業の形態とその形成要因が開発と生産別にどのように異なるのかという問題意識を設定した。近年グローバル競争の激化により、世界自動車産業では組織間協業のハイブリッド化が起こりつつある。たとえば、米国企業の中には、競争力を向上するため、入札を実施しながらも、日本企業のように組織間協業を強化する企業が増加している(Dyer, 1996)。また、日本企業も組織間取引に競争のメカニズムを導入しており、系列取引が流動化しつつある。日米の組織間協業のハイブリッド化に伴い、従来の日本型対米国型組織間協業という二分法的な分析枠組みの陳腐化が進んでいる。それを補完するため、取引コスト理論、資源ベース理論、埋め込み理論などを組み合わせ、組織間協業の形成要因を説明する折衷論が活発化している(MacDuffie and Helper, 2006)。 しかし、折衷論では組織間開発協業の形態と生産協業の形態が強い相関を有しながら形成されるとされてきた。そのため、組織間協業の形態が開発と生産別に異なることについては、必ずしも充分な検討がなされてきたとは言えなかった。また、先行研究では組織間協業の形成要因を開発と生産別にどのように説明すれば良いのかがあまり注目されてこなかった。本研究の結論は、組織間協業の形態が開発と生産別に異なるため、組織間協業の形成要因を開発協業の形成要因と生産協業の形成要因を組み合わせて折衷的に説明する必要がある点にある。
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