研究概要 |
本研究の目的は,知識創造モデルを分析視角とし,日本企業と韓国企業を対象とする実証研究によって,日本企業と韓国企業の知識創造の実態を明らかにすることである。具体的には,(1) 知識創造プロセスの規定因の特定化(検証),(2) 「ナレッジ・イノベーション・パターン」の析出,(3) 「ナレッジ・イノベーション・パターン」の動態的展開の解明の3つを本研究の目的とした。 平成21年度では,日本と韓国企業の知識創造プロセスの動態的展開を明らかにするために,日本および韓国企業の中で,高い業績をあげている,もしくは危機から再生した企業の知識創造プロセスが,「なぜ」そして「どのように」して展開されたのか,すなわち「ナレッジ・イノベーション・パターン」の動態的展開を事例分析を通じて解明することを試みた。日本企業では,トヨタ,マツダ,長谷工コーポレーション,韓国企業では,現代・起亜自動車,三星電子,ハイニクス半導体の事例分析を開始した。事例分析の過程で,日本企業と韓国企業の知識創造プロセスの規定因(主要競争戦略・市場の競争度等・規模・事業内容・創業年数,情報技術・情報システムの整備活用度など)や,規定因ごとの知識創造プロセスの型,すなわち「ナレッジ・イノベーション・パターン」に差異があることが,示唆された。 また,本年度の研究成果は,日本生産管理学会,国際ビジネス研究学会,実践経営学会,韓日経商学会,日本中小企業学会などで発表した。
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