研究概要 |
本研究の目的は,知識創造モデルを分析視角とし,日本企業と韓国企業を対象とする実証研究によって,日本企業と韓国企業の知識創造の実態を明らかにすることである。 平成22年度では,主に韓国企業の知識創造プロセスの動態的展開を明らかにするために,韓国企業の中で,高い業績をあげている,もしくは危機から再生した企業の知識創造プロセスが,「なぜ」そして「どのように」して展開されたのか,すなわち「ナレッジ・イノベーション・パターン」の動態的展開を事例分析を通じて解明することを試みた。事例分析の対象企業としては,現代・起亜自動車,三星電子,および,韓国自動車部品企業などである。当該年度の研究実績は以下の通りである。 李・平野(2010)は,1990年代末の韓国経済危機前後の現代・起亜自動車の企業再生のプロセスを企業連携力やナレッジ・イノベーションの観点から経時的に捉えた論文である。姜・平野(2011)は,資源戦略論や知識ベース論の視点より,三星の全方位的なグローバル・オープン・パートナーシップを通じた知識能力構築のプロセスを明らかにした。また,李(2010)では,1990年代末の韓国経済危機以降の韓国自動車及び部品産業の全体像を考察し,その構造的特徴と問題点を導出した。海外実地調査としては,平野の米国フォード・在米マツダ系部品メーカー調査(2011年3月),李・平野の韓国現代自動車調査(2011年2月)がある。 また,本年度の研究成果は,韓国済州大学において開催された,第25回韓日経済経営国際学術会議で発表した。
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