昨年度から進めてきた先行研究のレビューを続行し、これまでの調査から導出した仮説を先行研究の理論に照らしながら彫琢した。併せて地方自治体{企業などを対象とするフィールド調査を継続し、データ内容の充実に努めた。これまでの先行研究レビューや収集したデータなどを総合し、事例データの整理を行いながら、研究方法論としてのエスノグラフィーについても考察を加えた。とくに平成23年度は、3ヵ年度にわたる研究の最終年次に当たるので、研究の進捗状況を検討し、研究の終結に向けて研究成果報告書の作成に注力した。 平成24年2月10日には熊本県立大学において、関西大学政策創造学部の橋本行史教授を交えて自治体職員の人的資源管理に関する研究会を実施したほか、同年3月27日には、関西大学法学研究所において開催された地域主権研究会に参加し、研究方法としてのエスノグラフィーの理論と実際について報告を行った。また、熊本県市町村研修協議会が実施した研修の講師及び熊本市の地域振興担当職員向け研修などの講師を担当し、研修プログラムの実証試験を行った。これらの研修では、参加者の参画意識を高めることを目指したワークショップ手法を実際に用い自治体職員研修プログラムとしての可能性と課題を探った。 さらに昨年度から試行的に取り組んできた自治体職員向けCPD(Continuing Professional Development)講座を23年度も開講し、「協働のまちづくり」の現場で働く自治体職員を主な対象として実践的プログラムを実際に動かしてみた。この結果、ワールドカフェやクロスロードなどのワークショップ技法の有効性が改めて明らかとなり、標準的な自治体職員向けの実践研修プログラムのプロトタイプの策定に役立てることができた。そして、これまでの3ヵ年に及ぶ研究を振り返り、研究から得られた知見や含意を整理しながら研究成果報告書を完成させた。
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