本年度は、まず第一に、1993年から2004年までに自動車メーカーが出願した全ての特許データと、同期間中に340社の一次部品サプライヤーが出願した特許数データ、及び自動車メーカー・部品サプライヤー間の部品レベルでの取引関係のデータ((株)アイアールシー発行の『主要自動車部品の生産流通調査』、84年版、87年版、90年版、93年版、96年版、99年版、02年版、05年版のデータを使用)に基づいて、日本自動車産業の先端技術開発協業の変容と現状について、社会的ネットワーク分析のツール等を用いて定量的な分析を行った。 また、第二に、上記作業と並行しながら、自動車メーカー、及びその中核的サプライヤーへのインタビュー調査を行い、日本自動車産業における「先端技術開発協業」のマネジメントの実態と、各自動車メーカーごとの違い、及びその背景にあるロジックを探っていった。 こうした成果は、基本的に、自動車メーカーやサプライヤーへのインタビュー調査を行う際に、マネージャ層に対してこれまでの研究・調査成果を報告する会を設けることで、調査への協力を引き出すための道具として役立てられた。また、成果の一部は、2009年8月28日に開催された、法政大学イノベーション・マネジメント研究センター主催のシンポジウム、『イノベーション・クラスターの創生政策とグローバル・リンケージ』の中で発表された。 まだ調査・研究の途中ではあるが、来年度は暫定的な報告を行う論文を執筆し、ディスカッションペーパーや紀要にて発表する予定である。また、再来年度には、国内査読誌や海外査読誌への投稿を行いたいと考えている。
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