本年度は、まず第一に、既に構築済みであった1993年から2004年までに自動車メーカーが出願した全ての特許データを網羅したデータベースに、1984年から1992年までと、2005年から2009年までのデータを追加し、整備を行った。また、自動車部品メーカーが出願した特許については、2000年から2004年までに150社の一次部品サプライヤーが出願した全ての特許データを網羅したデータベースを新たに構築した。 また、第二に、こうした特許データベースをもとに、2000年代前半における日本自動車産業の先端技術開発協業の状況について、パテント・マップ分析と社会的ネットワーク分析の手法を組み合わせた定量的な分析を行った。 第三に、上記作業と並行しながら、自動車メーカー、及びその中核的サプライヤーへのインタビュー調査を行い、日本自動車産業における先端技術開発協業のマネジメントの実態と、各自動車メーカーごとの違い、及びその背景にあるロジックを探っていった。 こうした成果は、基本的に、自動車メーカーやサプライヤーへのインタビュー調査を行う際に、マネージャ層に対してこれまでの研究・調査成果を報告する会を設けることで、調査への協力を引き出すための道具として役立てられた。 まだ調査・研究の途中であり、やや混沌とした状況(最終的な着地点等が見通せない状況)にあるため、本年度は論文執筆や学会での報告は行わなかった。来年度は、少なくとも暫定的な報告を行う論文を執筆し、ディスカッションペーパーや学会等にて発表したいと考えている。
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