研究概要 |
女性中間管理職が排出しやすい組織の仕組みやリーダーシップや本人達の意識はなにかを明らかにするために、今年度は主としてインタビューとフィールドワーク中心の企業における実態調査を行った。女性管理職を輩出している企業を選択し,彼女達を育ててきた組織環境について,調査した。調査事項としては,人事制度,業績評価制度,教育システムを中心に調査をした。 特にインタビュー調査の対象者として、一つの企業につき(1)現在女性中間管理職にいる当該年齢レンジの女性、(2)彼女の管理職昇格を支援した上司(3)彼女の同期の男性社員(4)会社の人事部、可能であれば人事部長、担当役員などの会社の上位職の四種類の複数の人物に対して実施した。具体的にはJR九州、西日本鉄道、荘内銀行、三菱商事、鹿児島銀行である。 それぞれ複数人のインタビュー調査を実施した。 特に、それぞれの女性中間管理職が昇進していくプロセスにおいて、引き上げてくれた上司の存在があることが浮き彫りにされた。 昨今では多様な人材を生かす戦略、ダイバシティの一環として企業における女性活用は大きなテーマとされている。しかしながら、「女性中間管理職を引き上げてくれる上司と組織マネジメント」という視点からの研究は非常に少ない。本来、ビジネスの現場における人間を考える場合、人間を取り巻く組織マネジメントがどのようになっているのかと,個人がどのように育ち,動機付けを持っていくのかという視点という二つの視点をもって研究が為されることによって、はじめて組織における個人としての全体像が明らかになるはずであり、その意味でも本研究は意義があるものと考える。
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