女性中間管理職が排出しやすい組織の仕組みやリーダーシップや本人達の意識はなにかを明らかにするために、今年度は昨年までに取りこぼしたインタビューとフィールドワーク中心の企業における実態調査を行った。 特にインタビュー調査の対象者として、一つの企業につき(1)現在女性中間管理職にいる当該年齢レンジの女性、(2)彼女の管理職昇格を支援した上司(3)彼女の同期の男性社員(4)会社の人事部、可能であれば人事部長、担当役員などの会社の上位職の四種類の複数の人物に対して実施した。具体的には広島銀行、鹿児島銀行である。 それぞれ複数人のインタビュー調査を実施した。 本研究から三つの示唆を得ることができた。第一に、部下を伸ばそうとする意思があり、部下が昇進を躊躇している際には言葉に出して昇進を勧めるような上司を今後期待をかける女性の側に配置することである。第二に女性に幅広い社内ネットワークを構築させることである。第三に一緒に働く経験が重要であることである。社内ネットワーク構築とこれも関係があるが、同性のキャリアモデルが十分機能しているとは言えなかった。遠くにいるキャリアモデルよりも、異性でも物理的に近所にいて、観察の対象となる相手の方が影響を与えていた。女性が昇進を望み一歩踏み出すためには、女性の効力感を醸成しそれを育てること、又効力感が発生しやすい環境作りをすることが必要という示唆を得ることができた。これは、従来の研究になかった視点と考える。
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