本研究の目的は、アフリカにおける農産物の流通と加工における急速な変化に注目し、東アフリカ地域の小売業(スーパーマーケット)と食品加工業に進出している南アフリカ企業等の経営戦略とローカル企業への影響に焦点をあてて分析することであった。研究する中で、農産物加工業(ビール、ジュース産業)と小売業(スーパーマーケット)に集中することにし、平成23年度研究実施計画ではタンザニア連合共和国をメインに、ウガンダ共和国を本調査のフォローアップ地とすることになっていた。 ウガンダでのフォローアップは投稿中であった論文の査読コメント如何によっては必要であることを想定したためであったが、現地関係者とのメールのやり取り等で対応が可能になったため、タンザニア調査に集中することにした。8月に15日間かけてタンザニアの4都市(ダルエスサラーム、キダツ、アルーシャ、モシ)をまわり、合計42件のインタビュー・訪問を実施することができた。まず、2011年2月に訪問した際に南アフリカ本社から紹介を受けた企業を中心に、タンザニアに進出している南アフリカ企業8社や投資センター、在ダルエスサラーム南ア大使館、東アフリカ共同体事務局等を訪問し、インタビュー調査を実施した。さらに、地方都市の支店を訪問するとともに、ビール会社、スーパーマーケットと取引している大麦農家、野菜・果物農家にも訪問し、取引状況を調べた。 また、研究実施計画では論文のとりまとめも重視していた。これについては、日本アフリカ学会学術大会と国際開発学会春季大会で発表した。さらに投稿中であったウガンダのビール産業に関する英文論文は査読を通過し、スーパーマーケットに関する日本語論文も査読を通過し、書籍の1つの章として公刊された。また、これら以外に1本の日本語論文をまとめ投稿中である。
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