本調査の主目的は、アジアに拠点を置く日系企業における現地採用管理職員いわゆるローカルマネジャーが海外日系企業に適応するために必要とされるスキル及びそのスキルの習得方法を見出すことにある。さらにその過程の中で、日本を含めアジア各国において比較研究し国や文化におけるローカルマネジャーのスキルと現地におけるその習得方法の国ごとの相違を理解する。本調査で具体的に明らかにしたいことは2つある。第一に、本調査に先立って実施した量的分析との相互補完関係を探り、本調査で実施されるインタビューの質的分析により、総合的な見地から必要とされる適応スキルを把握する。第二に、ローカルマネジャーが必要とされる適応スキルの習得の仕方を質的分析によるインタビューを通して明らかにする。この研究目的を達成させるため、株式会社イオンの4カ国、1つの地域で働くローカルマネジャーを被験者とし、日本、中国、香港、マレーシア、タイにあるイオン社の店舗で働いているマネジャーからそれぞれ50名-60名にインタビューを行う。 この調査目的と調査方法に基づき、平成21年度はマレーシア(62名)、香港(56名)、タイ(52名)のインタビューを行いデータ収集した。これらのデータ分析は、全インタビューが修了する平成23年度以降になる。従って、本調査の計画とその内容から、成果としての研究実績と発表の時期は23年以降になる。但し、本調査に先立って行われた量的分析については、本年度中に論文としてまとめる予定である。
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