研究概要 |
国際経営学において、異なる国からの2社以上の独立した企業による共同の所有と経営による国際合弁企業の研究は、興味深い重要な研究テーマである。本研究では、海外投資の受け入れ国での経験が国際合弁企業の収益性に与える影響を1985年-2000年での在日外資系企業の国際合弁のデータを利用し分析している。目的変数として生存、成長を利用し、合弁企業の規模、営業年数以外に、環境変数として、同業他社の数、実質GDP成長率も取り入れた。投資国での経営経験は新規参入の不利な条件や異文化協働での不都合さを減少させることにより、経営成果を向上させるという利点があると分析できた。しかしながら、経験から学習することの困難さゆえに、受け入れ国での経営経験が何時も貢献するとは限らず、経験の累積の仕方により逆に害することもある事も分析でき、国際合弁での経験の過大評価はすべきでないことが指摘できた。 第2に、マレーシアにおける日系子会社の収益性について分析した。東洋経済海外進出企業総覧より、2005年より2009年までに掲載されている日系子会社270社の経営成果と親会社の海外売上高、ROE,R&D比率、営業年数、進出形態、子会社の経験年数等の独立変数と収益性の関連を調べた。収益性は順調、収支均衡、欠損の3分類でのアンケート調査の回答であるので2項及び多項ロジスティック回帰分析で分析した。その結果、親会社の従業員一人当たりの売上や売上高利益率は正の統計的に有意な影響を子会社の収益性に及ぼしていることが指摘できた。しかしながら、親会社の海外売上高やR&D比率は負の影響がある事も指摘できた。
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