研究概要 |
平成21年度は、国内での資料収集・研究、課題の整理と調査準備、さらにアメリカでの現地調査を行い、関連する研究成果を発表した。具体的には2論文が纏められた。 1.篠原健一「アメリカにおける雇用保障制度の変遷:近年の自動車産業からの示唆」 『Int' lecowk』(Vol.64-7、2009年7月号、社団法人国際経済労働研究所,pp.21-26.) 2.篠原健一「工場を覆う「非能力主義」労使関係がGMを衰退させた」 『週刊エコノミスト』(2009年7月7日号、毎日新聞社、pp.76-78) まず(1)の論文は、本研究課題に則り、近年まで進行してきたアメリカ自動車産業における雇用保障制度について、これまで収集してきた資料、聞き取り調査結果を踏まえて纏めたものである。 一方(2)の論文は、昨年経営破綻したGMの経緯、抱えてきた問題について、本研究課題の観点から重点的に纏めたものである。 ただしこれらの成果は、むろん本助成の成果に含められるものの、これを受けるまで継続して取り組んできた成果としての位置づけの方が濃いといえる。これら研究成果を纏める作業を通じて、より純粋な本助成として今後研究を進めていく足がかりとして、極めて重要な成果であった。 ここで上げられた研究実績は、交付申請書に記載した「研究の目的」に合致する。また当初の「研究実施計画」では発表予定論文は1本であったが、それをもう一本上回る2研究成果を報告できた。他方、日本の調査対象先との関係については、今般の経済情勢・企業の経営事情の悪化により、今後課題として残されているが、他方、アメリカの調査対象先との関係は全く良好であり、研究の進行上、さしあたり問題はないといえる。
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