本研究の目的は、現在、生産現場の改革に苦闘しつつあるアメリカ自動車産業について、日本自動車産業の作業組織を比較対象とし、調査研究を行うことにある。その目的に照らし、本年度は、日本における文献調査、資料収集・整理、調査現地における調査活動、そして成果発表を行った。 2011年3月には、アメリカにおける現地調査では、ミシガン州デトロイト市にてUAW本部役員、あるいは同州ランシング市にあるGMデルタ・タウンシップ工場(旧GMランシング工場)にて聞き取り調査、あるいは資料収集活動をおこなった。 同時に、ビッグ3のみならず、日系自動車メーカー調査の一環として、現地にて関係先にて聞き取り調査をおこなった。日本自動車部品工業会・北米事務所、デトロイト日本商工会、そして在デトロイト日本国総領事館にて調査活動にあたっておられる堀江暢俊領事を対象にして、聞き取り調査活動を行った。調査活動は、諸調査協力者の事情、関係性に負うところが大きいため、新たな調査協力者が現れるなど、当初の計画よりも予想以上に進展した点もあるし、逆にさほど進展しなかった点もある。 成果発表としては、単著論文「新生GMにおける経営改革の課題:国際競争力・労使関係・職長の役割」『京都マネジメントレビュー』(第19巻、2011年10月、京都産業大学マネジメント研究会)を執筆した。他に学会単独報告として、社会政策学会第123回全国大会にて「書評:山崎憲著『デトロイトウェイの破綻』旬報社、2010年」(書評分科会、座長:石井まこと(大分大学)、2011年10月8日(土)、京都大学)として報告を行った。 以上の研究実績を経て、研究テーマである「日米自動車産業における作業組織改革の比較研究」が最終年度に達成できるよう、今後も継続的に調査・研究を進展させていく所存である。
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