研究概要 |
本研究の目的は、東北アジアを拠点とする中核自動車部品企業を対象に,自動車メーカーとの先行研究フェーズにおけるR & D活動の仕組みと、R & D成果の共有メカニズムと技術移転における中核部品企業の役割と機能、創造された技術知識の系列外および系列内企業間ネットワークへの伝播・移転メカニズムについて分析することである。そこで、2010年度には、昨年度に立ち上げた海外拠点技術移転研究会を定期的に行いながら、中国と韓国地域における日系および韓国系自動車メーカー、サプライヤーに対する現地調査を行った。また、技術移転や競争力転換の先例ともいえる造船産業に関する調査も補完的に行った。 平成22年度は現地調査と研究成果の発表、仮説の明確化を中心に行われた。まず、現地調査は日本の自動車メーカーの3社の購買部門と日系及び韓国系企業の中国と韓国、トルコなどの現地法人、そして販売拠点、総括本部などについて調査・分析を行った。成果発表においては、研究分担者である銭氏が国際ビジネス研究学会で組織形態(構造、連携、調整のあり方)の変化に注目し、海外子会社の成長と機能、国際化の程度との関連性について分析を行った。また、今年度調査などを研究ノートという形で論文を執筆した。また、具は、先行事例ともいえる造船産業に着目し、日韓競争力の転換の原因について組織内部要因とライバル企業間の関係性やベクトルの変化という側面で戦略的隙間の存在と高付加価値戦略の問題などについてまとめ、組織学会で発表した。また、複雑性の問題に着目し、大型人工物の製品開発問題についてまとめた。これらの研究は自動車産業における戦略的構図の変化、製品開発にも援用できると思われる。最終年度である今年は、在外研究期間を利用し、R & D活動の仕組みと業界内技術移転メカニズムを中心にまとめつつ、成果発表を積極的に行う予定である。
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