今年度は中核サプライヤーと顧客に対するインタビュー調査と成果の一部を論文や学会発表などを行った。まず、調査はコリアボッシュをはじめ、ボッシュジャパン、デンソー、広州トヨタとデンソー広州、マンドの北京技術研究所、韓国内日系サプライヤー等に対する現地調査を行い、海外子会社と本社間の関係性と調整の度合い、製品開発プロセスにおける中核サプライヤーの役割と変貌、顧客の購買活動と具体的な業務プロセスなどについて質的データを得られた。 研究成果としては次のような学会発表と論文執筆を行った。 まず、具(2011)は、韓国の独立系の中核サプライヤーを対象として取り上げ、開発現地化の実態についてディスカッションペーパーを執筆し、国際ビジネス研究学会で発表した。この論文ではこれまでの開発現地化の議論が当為として議論されているが、実は開発の一部が現地化されているだけであることを指摘する。従って、R&D活動は単純にRとDだけではなく、コンセプト、材料、実験、アプリケーション開発等、幾つかの段階に分けてみるべきであることを指摘する。同時に、高パフォーマンスの企業は、開発機能の本社主導である共通点があることを明らかにした。銭(2011)は生産技術の側面に着目し、技術と技能の観点から考察したものである。海外生産拠点の拡大の中、どのような生産体制が効果的なのかについて技能と技術を分けて、現地適応型・技能重視の日系型と技能排除型・標準化生産システムを重視する韓国系企業の比較を行っている。更に、具(2012)は現代自動車の競争力向上要因についてドラフトの段階のものを発表した。同発表では単なるトップの意思決定の速さたけではなく、製品戦略や生産戦略、サプライヤーの活用などの側面から5つ要因を指摘した。最後に、競争力の転換の先行事例としての造船産業については多数の発表と論文投稿を行った。本格的な成果発表はこれからである。
|