1.本研究の目的 本研究の目的は、標準化プロセスに関する事例をひろく収集し、標準化を成功裏にビジネスに結び付けるための戦略と標準化から収益を上げるビジネスモデルを導き出し、一般化することである。日本企業の多くは高い技術力を背景にグローバルに標準化を推進しながらも、その標準化から収益を上げることができなかった。これらの一連の研究は大きな関心のひとつとなっている。 申請者は、本研究において製品アーキテクチャの変化を定量的に捉えなおし、さらに、事例分析による追試を行うことで、標準化戦略フレームワークの精緻化することに力点を置いた。 2.最終年度の研究実績 3年間にわたる本研究では、最初の2年間で、(1)一般化にむけての理論的追試のためのケース収集、(2)標準化周辺企業の普及活動に関する調査を実施した。その成果は、立本・高梨(2010)、高梨・立本・小川(2011)として発信した。 最終年度では、この2年間で残された課題の解決と、さらなる研究への足掛かりとしてサービス業への理論的追試に注力、以下を実施した。 (1)モジュール化指標策定のための仮説の導出:モジュール化が進展している分野として事例収集してきた自動車にターゲットを絞り、In-depthなインタビューやデータを分析 (2)サービス分野としてインドIT産業を調査:インドIT企業は、欧米企業の世界的なR&D拠点となっている。調査の結果、この背景には、ソフトウェア開発におけるモジュール化があり、印・欧米間のグローバルなビジネス・エコ・システム(新たなビジネスモデル)の形成が見えた。
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