本研究は、アジア最大のCSR会議を主催するAsian Institute Management(AIM比・マニラ)と協働で、アジアCSR大賞エントリーのデータをもとに、「Peace through Commerce」を意識したアジアCSR事例のデーターベースの作成をおこなう。また、平和のためのCSR事例研究をもとに、「アジア版Peace through Commerce」のテキストを作成することを目的とする。 22年度は、フィリピンへの出張を複数回行い、AIMとの協力関係の交渉を行い、前進を得た。また、マレーシアではAIMの主催するアジアCSR会議に出席した。 データーベースに関してであるが、23年2月に予備的データーベースの作成を行い、23年3月AIM理事会で、データーベースの協働構築プロジェクトが正式に認可された。 テキストに関しては、研究を進めるうちに、深い分析を行う必要性を感じ、フィリピンの工場での現地調査を行った。共産ゲリラの蔓延していた地域においてCSRを使った住民との共存関係の構築がどのように行われ、それが、フィリピンのキャピタリズムの中でどういう意味を持つのかの考察を進めた。これは、学術研究書として、英国の国際的出版社から発行することが決まり、現在、契約書が届くのを待っているところである。 また、日本企業のCSRという面では、平和のためのCSRを推し進めている「国連グローバル・コンパクト」批准企業と計5回にわたって公開セミナーを行った。これは大学大学院ビジネススクールのCSR研究会への協力という形をとった。このような研究の発展により、成果物、出版物の方向性なども明確になってきており、23年度は、それらを完成、発表へとつなげる。
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