研究課題
本研究は、地球環境の保全と企業の持続的発展に寄与する企業のコーズ・リレーティッド・マーケティング(以下CRM)のあり方とその具体的な展開方法を明らかにすることを目的とする。地球環境保全型のCRMを展開するためには設定しようとするコーズが地球環境問題の解決につながっているという環境性を正しく示すだけでなく、それは企業がターゲットとする消費者にとって魅力的で協力したいと思うという市場性や、展開しようとするマーケティングプログラムの採算性や独立性といった事業性という要件を満たしているかが重要であると考える。そこで本研究では、これら観点から、企業のCRMの事例を評価し、望ましい展開方法に関する学術的なフレームワークの提示を行う。初年度の平成21年度は、CRMに関する国内外の先行研究をサーベイすることから始めた。その結果、コーズの対象を地球環境問題として展開しその構造の分析を行っている研究は少なく、十分な研究蓄積がないことが分かった。そこで、対象範囲を医療、福祉、文化、教育領域へと拡大し、その展開方法に関する知見をまとめると共に、消費者の受容性や事業としての持続性に影響する要因の特定化を行った。一方で、国や専門の認証機関によって制度化されている環境計測技術、認証システム、環境コミュニケーション制度に関する情報を収集し、これらのシステムが、企業・組織のCRMの環境性の開示に適用可能かどうかについて検討を行った。特に、エコマーク、省エネラベル、カーボンフットプリント等の環境ラベルについて、消費者を対象とするアンケート調査を実施し、その認知率やコミュニケーションツールとしての受容性について分析を行った。その結果、現時点での認知率はいずれも低いこと、環境対応をラベルとして表示することの意義には一定の賛同を得られるものの、多くの環境ラベルに対する混乱や実際の購買との結びつきの低さ等の問題点が明確になった。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
体育の科学 Vol.60, No.2
ページ: 89-94
環境情報科学 39-1
ページ: 29-33
Adaptation and Mitigation Strategies for Climate Change (Chapter14. Environmental Communication Aimed at Household Energy Conservation)(Springer)
ページ: 336(担当215-231)
日本LCA学会誌 Vol.5, No.2
ページ: 186-194
広告科学 第51巻
ページ: 51-65
仕事のスキル:自分を活かし、職場を変える(第三章「マーケティング:販売のスキルをどう立てるのか」)(北大路書房)
ページ: 230(担当32-43)
基礎から学べる広告の総合講座2010(第三章「社会と広告:地球環境問題を中心として」)(日本経済新聞出版社)
ページ: 402(担当47-62)