研究課題
本研究は、ヨーロッパ家電小売業売上高第1位のメディア・サターン(独)と第2位のDSGI(英)の動向を中心として、ヨーロッパの家電小売マーケティング、小売流通構造の特質を歴史分析・国際比較分析の視点から明らかにすることを目的としている。研究初度は、海外研究協力者とともに、メディア・マルクトのハーグ店(オランダ)のインタビュー調査を行ない、また、メーカー側の視点をえるために英国パナソニックのインタビュー調査を行なった。同時に、国際比較分析の基礎として、研究代表者が、わが国家電小売マーケティングの史的展開について、戦前の展開を第12回CAHRM(米国学会だが今回は英国で開催)で、戦後から現在にいたる展開を第10回CHORD(英国学会)で報告し討論を行なった。メディア・マルクトは、ターンキー方式とも呼ぶべき分権的管理システムを採用し、土地と建物および初発の在庫の決定の後は、指名した店舗管理者にすべてを一任する方式を採用している。各店舗管理者は当該店の10%の株式を保有し、雇用、仕入れ、品揃え、在庫、販売価格、プロモーションなど全てに責任を持ち、利益が出るだけ本人の利益につながるという仕組みであり、これによって成功を収めてきた。一方、英国パナソニックは、メーカーの立場から新製品情報の普及に力を注いでいる姿勢が明確であった。研究代表者は、海外研究協力者と分析枠組みに関する討論を積み重ね、知識経営学の知見を応用し、(1)製品知識(メーカーの活動への小売企業のフリーライド)、(2)小売経営の一般的知識(ヨーロッパ企業が初発から保有していたのに対し、日本の系列小売業者は一般的に欠如していた)、(3)小売マーケティング競争の戦略的知識(企業によって異なる知識)という三層の知識構成との関連で、ヨーロッパ家電マーケティングの競争構造を分析することとした。
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同志社商学 第61巻第6号(招待執筆)
ページ: 98-114
Marketing History : Strengthening, Straightening and Extending, Proceedings of the 14th Biennial Conference on Historical Analysis and Research in Marketing(CHARM)
ページ: 277-294
2009 CHORD Conference, Retailing and distribution History, A Conference to Mark 10 years of CHORD
ページ: 20-21