研究課題
本研究は、ソリューションビジネスにおける顧客関係管理の戦略的有効性について、1)顧客の経営課題導出プロセスとソリューションビジネスの成果との関係、2)サービス提供の組織形態とソリューションビジネスの成果との関係を明らかにすること、の2つの研究課題を持つ。課題2)の領域において、クラウドコンピューティングと呼ばれる、Web技術を通じたオンデマンド・サービスとしてソリューション提供する形態の注目度が高いことから、研究代表者の南は、IS(情報サービス)業界における企業導入型サービスとクラウド型サービスの動向について、日本オラクル、IBM、日立製作所にインタビュー調査を実施した。サービス提供の組織形態の相違に関して、クラウド型は導入コストの低さから中小企業ユーザーに成果をもたらすことが明らかになり、業界全体における利益構造に影響を与える可能性が示唆された。課題1)については、リテール・ソリューションに注目し、GIS(地理情報システム)による小売出店計画サポートビジネスと、小売店舗の入店カウンターとレジ待ち予測システムの事例の研究を関係者へのインタビュー調査により行った。コンサルティングによる顧客企業の課題導出のみならず、顧客とともに実現したい価値を共有し、システム導入における実証実験の積み重ねがソリューションの有効性の上で、重要であることが明らかになった。研究分担者の高嶋は、製薬企業のベーリンガーインゲルハイムを調査対象として、改善志向の営業プロセス管理についての事例研究を行い、ソリューションビジネスについて営業戦略の側面から顧客関係戦略の有効性を明らかにした。また、研究分担者の黄は、企業間の関係管理においてグローバル・サプライ・チェーン・ネットワークに注目し、企業の戦略を競争力の基盤としての市場反応力と外部化の二つの視点から論じ、概念的なフレームワークを提示した。
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国民経済雑誌
巻: 第204巻4号 ページ: 31-41
マーケティングジャーナル
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International Commerce Review : ECR Journal
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季刊マーケティングジャーナル
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