研究概要 |
2011年度は、研究代表者である南は、情報通信業界におけるソリューション・ビジネスの戦略的アプローチのみならず、情報通信を利用することによる、既存ビジネスのソリューションビジネス化、すなわちサービス志向アプローチの動向について、技術専門商社と医療機器メーカー、流通業者を対象とする事例研究を行った。また、エレクトロニクス部品供給業者や、広告代理店などB to B企業部門からもヒアリングを行った。さらに製造業者(及び設備業界)1724社と法人を対象とするサービス業者955社を対象として、サービス志向アプローチに関する実態を把握するアンケート調査を実施した。 企業内部資料や提供データ、インタビュー調査により明らかになったことは、企業間の取引関係において、顧客企業のみならず顧客の顧客であるエンドユーザーに提供する価値を識別し、顧客企業がそれを実現するために、業務プロセスをモジュラー化、可視化することの重要性である。顧客価値の識別プロセスは、提供側企業による一方向的な提案ではなく、むしろ成功体験を確認しつつインクリメンタルかつ互恵的なプロセスであることが確認された。 研究分担者の高嶋は、関係管理という理論課題において、特定顧客の想定し,戦略の逐次的修正を行うことから,相互作用型マーケティング論アプローチが適用され、顧客適応のために分権的な組織が採用される一方で、その分権性が集中的な情報処理や資源配分を阻害し,大規模に関係性を水平展開することの制約になることの理論的研究を行った。また研究分担者の黄は、企業のグローバルな活動のうち、とくにサプライチェーン・マネジメント領域に焦点を当て、リーン型、アジャイル型、その組み合わせなど、ロジスティクス面で顧客企業への課題解決活動の展開について研究を行った。
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