消費者の適正な商品選択に悪影響を及ぼす誤認広告や表示は、景品表示法によって規制されている。しかしながら、広告は自社ブランドの優位性をアピールするものであるため、デメリット表示(例外条件や制約条件などの但し書き)が必要な場合でも、消費者にわかりにくい表示になっている。そこで本研究では、強調表示である「No.1表示」(顧客満足No.1や売上実績No.1は優良誤認の可能性がある)に着目し、強調表示と打消し表示(但し書き)による広告効果に及ぼす影響を検証した。自動車保険の広告に対する評価データを分析して得られた知見は以下の通りである。 1.「但し書きを読むのは面倒」というネガティブ評価は、「購買意図」に対して直接負の影響を与えるが、但し書きに対するポジティブ評価は、「購買意図」のみならず、「広告好意」、「広告理解」、「ブランドへの態度」に正の影響を与える。 2.No.1表示に対して評価が低い、すなわち懐疑的な人の場合、評価が高い人よりも、但し書きへのネガティブ評価による「購買意図」に対する負の影響が強い。逆に、但し書きへのポジティブ評価による「ブランドへの態度」に対する正の影響はより強い。 3.但し書きが小さいと思う人の場合、読むのが面倒という評価は「購買意図」に影響しないが、小さいとは思わない人の場合、読むのが面倒と感じるほど、「購買意図」により強く負の影響が及ぶ。 4.但し書きが小さいと思う人よりも、小さいとは思わない人の方が、但し書きに対するポジティブ評価による「広告好意」、「広告理解」、「ブランドへの態度」に対する正の影響がより強い。 5・但し書きを注意する人よりも、注意しない人の方が、但し書きへのポジティブ評価による「ブランドへの態度」に対する正の影響がより強い。
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