研究目的: 本研究の目的は、中国と台湾のビジネス・ネットワークにおいて、中小製造企業のイノベーション活動を理論的に把握することである。この目的に基づいて、平成22年度の研究内容は次の2つである。 (1) 継続的に研究の深化と学会報告 21年度では、事例研究を通じて長期的取引関係によって構成されたビジネス・ネットワークにおいて、企業がマーケティング活動を行う際、期待される効果と資源運用の効率性の間にトレードオフな関係があることがわかった。この発見を22年度中、第26回のIMP conferenceで報告した。海外の産業財マーケティング研究者から、有益なコメントをもらった。その中、特に研究に繋がるのは産業財企業のブランディングと購買意思決定との関係についての意見である。この意見を22年度の実証研究に展開した。 (2) 台湾と中国の中小製造企業に対する質問表調査の実施 21年度の研究成果に基づいて、4つの仮説が見いだされた。1) 中小製造企業が生産財を購入する際、購買意思決定において、重視するマーケティング要素には違いがある。2) 中小製造企業の重視するマーケティング要素は取引条件、製品特性、サプライチェーンにおける自社のポジション、規模によって異なる。3) 中小製造企業の経営業績は、自社が想定する競争優位性の違いによって異なる。 4) 中小製造企業の経営業績は、規模に影響される。 台湾と中国ではそれぞれに100サンプル以上のデータを収集しようと予定した。結果、台湾では102サンプル、中国では条件制約が多かったため、現段階まだ収集段階中である。 台湾での調査データに対する分析は、すでに完了した。成果は2011年7月の学内紀要に刊行される予定である。
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