研究概要 |
本年度は、3年間の研究計画に従って、その第1段階である質問紙調査を中心に研究を実施した。具体的には、日本国内の分権型組織を採用する企業の事業ユニット管理者に質問紙を送付し、(a)経営戦略と市場動向に関する情報の伝達と共有の状況、(b)利用されているマネジメント・システムの組合せ,(c)マネジメント・システム間の情報の相互依存性などについて、回答を集めた。これらの回答データの一次分析から、日本企業では予算管理と目標管理の採用割合が高いものの、両システムの相互依存性が低いこと、また、方針管理は、垂直方向(上位組織から下位組織への)コミュニケーション機能を期待されているが、期待と現状とのギャップが比較的大きいことを観察することができる。 さらに、回答データを分析する理論モデルの蓋然性を確認するために、(株)村田製作所、エーザイ(株)、アサヒビール(株)など数社の経営企画部門または管理会計部門に対して、インタビュー調査を行った。質問紙調査が企業の事業ユニットからの回答を求めたのに対し、インタビュー調査では本社サイドからの視点で組織内コミュニケーションの状況を評価し、課題の解説を受けるように依頼をした。インタビューから得られた情報は、有用であるが企業間でのバラツキが大きくまだ十分に整理できていない。 質問紙調査およびインタビュー調査によって得られた情報を分析した研究成果は、今秋以降、学会等で順次発表する予定である。
|