研究概要 |
本研究では、わが国におけるBSC(バランスト・スコアカード)導入企業において、BSCと結びついた報酬システム(成果連動型報酬制度)がいかに構築・活用され、どのような効果をあげているのかについて、アンケート調査ならびにインタビュー調査等にもとづく実態調査をとおして明らかにし、そのうえで、BSCと結びついた効果的な報酬システム(成果連動型報酬制度)に関するフレームワークを構築することを目的としている。 平成22年度の研究では、東京証券取引所第一部上場企業を対象に、BSCならびに目標管理制度の導入状況と報酬システムとの結びつきに関する実態を明らかにするため、アンケート調査を行っている。昨年度の研究では、わが国企業において、BSCの導入目的として成果連動型の業績評価の導入をあげている企業の割合は低く,それに伴い、当該目的に対するBSCの導入効果も低くなっていることを明らかにし、戦略を従業員の個人目標と結びつけ、その達成を促すために、成果連動型の報酬制度が重視されているアメリカ企業とは相違があることを指摘した。そこで、わが国企業における成果連動型の業績評価の独自の展開についても検討するため、本調査においては、BSCと目標管理制度との導入状況の比較を行うことも目的としている。なお、アンケートは、ダイヤモンド社会社職員録2011年版所収の東証一部企業1,669社(このうち14社には未着等のため実送付数は1,655社)における、人事部や総務部、管理部などの部門長あるいは担当役員に送付し、91通の回答を得ている(回収率5.5%)。 また、旭化成株式会社人財・労務部人財戦略・開発室を訪問し、同社の人事管理制度や目標管理制度、能力開発制度、人材開発・育成制度、報酬制度、中期経営計画と目標管理制度との結びつきなどについてインタビュー調査を行っている。
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