研究概要 |
企業の不正会計という問題は,現在においても大きな問題であり,不正会計の問題の大きさもますます強く認識されるようになっている。現在,多くの不正防止のための手続きやルールが採用されているにもかかわらず,不正会計はやむことがない。それでは,現に存在している企業会計や企業統治の制度で不正会計を防止することができなかったのであろうか。また,現在の企業会計や企業統治の制度改革は今後の不正会計を防止するのに十分なのであろうか。 本研究プロジェクトは,かかる不正会計に関連する諸問題について歴史的視角から国際比較分析に基づく研究を展開するものである。初年度である21年度は,計画通り分担者それぞれが担当する領域における文献の収集と分析に注力した。すなわち,代表者の中野はイギリス,橋本はネーデルラント(オランダ),清水はアメリカおよび日本,杉田はイギリス,三光寺はフランスの会計不正問題について取り上げられた文献を収集し,それを分析した。現状では,具体的な成果はまだ現れていないが,南海泡沫事件や日本の会計不正と複式簿記導入の関係などの検討が進行中で,次年度に研究分担者の間での協議を経て公表される予定である。
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