研究課題/領域番号 |
21530463
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中野 常男 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60093522)
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研究分担者 |
橋本 武久 京都産業大学, 経営学部, 教授 (00290601)
清水 泰洋 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (80324903)
杉田 武志 広島経済大学, 経済学部, 講師 (80509117)
三光寺 由実子 松山大学, 経営学部, 講師 (60549301)
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キーワード | 会計史 / 不正会計 / 南海泡沫事件 / 東インド会社 / ミシシッピ会社事件 |
研究概要 |
本研究プロジェクトは、現在において、また過去においても大きな問題であり、企業会計の宿痾とも言うべき不正会計関連する諸問題について歴史的視角から国際比較分析に基づく研究を展開するものである。第2年目に当たる平成22年度は、それぞれの分担者が、第1年目に引き続き担当する領域における資料(史料)の収集を行うとともに、それらの文献について、既に読解・整理・分析が進んだものから、その成果を中間報告するという年度であった。 すなわち、代表者の中野は17~18世紀初頭のイギリスのバブル経済関連文献(一部オランダ関係を含む)の収集と分析を継続し、オランダ(ネーデルラント)担当の橋本はデン・ハーグの国立公文書館に出張し一次史料の収集に努めた。アメリカおよび日本を担当する清水は、Samuel Insull(公益事業会社の会計)について資料を収集した。 研究の進展が比較的進んでいる杉田と三光寺のうち、イギリスを担当する杉田は、同国最古の株式会社であり、内部監査の起源もそこに見出されるロンドン東インド会社の監査に焦点を当て、出資者による監査が経営陣の不正疑惑に直面した時にどのような役割を果たしたのかについて、当時の議事録や会計報告書などに基づき検討し、その成果として、Discussion Paper(広島経済大学、No.42)を刊行した。 他方、フランスを担当する三光寺は、18世紀初頭のフランスにバブル的な株式投機を引き起こす要因を作ったJohn Law(1671~1729)の会計倫理の検討を行い、とりわけ本年度は、この問題に深く結び付くインド会社(Compagnie des Indes)における収支予測に焦点を当てその変遷を考察した。なお、資料(史料)に関しては、国内のみならず、Bibliotheque Nationale de France(国立図書館、フランス)等にて会計記録を中心とする一次史料も収集した。また、その成果の一部を日本会計史学会第29回大会で報告し、『日本会計史学会年報』に投稿を行い査読付論文としてアクセプトされ、本年度号に掲載予定である。 来年度(平成23年度)は本研究プロジェクトの最終年度であり、研究代表者と研究分担者の各々が研究成果を雑誌論文において公表するとともに、それぞれの研究成果の比較研究を行って、その共通性と特殊性を分析し、不正会計の歴史的重要性と現代の会計に対する知見と含意を集約して最終報告書としてまとめることとしている。
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