本研究の具体的な目的は、(a)導入プロセスでどのようなシステム修正・強化が行われているか、(b)導入プロセスでどのような促進・阻害要因が影響を及ぼすのか、(c)導入後の各フェーズの段階において業績改善が観察されるようになるのか、(d)導入プロセスでのさまざまな条件やイベントが組織の業績に対してどのように影響を及ぼすのかの4つである。この点において変更はない。 最終年度(~平成24年3月31日)の主要な研究実施計画として、「H22年度中に回収した質問票データ分析」「国内外の学会発表と論文執筆」を想定していた。 「回収したデータの解析」では大阪府立大学教授窪田氏、神戸大学名誉教授谷武幸氏などの助言を得て実施された。残念ながらデータに大幅な天井効果が出ていたが、データは理論を裏付けたり、理論を超えた新たな知見を与えてくれるものなどがあった。これらを実務家や京セラのコンサルタントらの前でたびたびプレゼンテーションを行い、解釈を行った。幸いにして、継続企業のみならず、中止企業からも一定数の回答を得られたので、両グループ間の比較を行うことができた。 「国内外の学会発表と論文執筆」について、データ解析を慎重に行ったために執筆を最終年度中に行うことは出来なかった。当初は国内外の学会発表と学術雑誌の投稿を目指していたが、データ、内容から判断して、ビジネスマンの集う産学連携のフォーラムでの発表と、ビジネス雑誌の投稿に切り替え、目下準備中である。「企業会計」に三ヶ月連続での掲載が内定している。 研究実施計画には想定していなかったが、JALへのアメーバ経営導入の調査機会を得た。一部はH23年度に開始した。今後、これらの新しい研究結果を加え、このプロジェクト全体の定性的・定量的研究のすべての結果を包含する論文を執筆する予定である。
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