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2010 年度 実績報告書

日・英・米の財務報告における記述的リスク情報の質的特性と予測可能性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21530465
研究機関青山学院大学

研究代表者

小西 範幸  青山学院大学, 会計プロフェッション研究科, 教授 (80205434)

研究分担者 宇佐美 嘉弘  専修大学, 経営学部, 准教授 (60255966)
キーワード会計学 / 経営学 / 経済統計学 / 解析・評価
研究概要

昨年度に引き続き,財務報告が提供する情報を,(1)財務諸表本文,(2)注記,(3)財務諸表外の情報に整理した上で,本年度ではリスク情報がどのように開示されているのかに焦点をあて,その質的特性について検討してみた。
リスク情報の開示は,(1)実際的な将来予測情報の提供,(2)資本コストの低減,(3)より良好なリスク・マネジメントの促進,(4)全ての投資者の同等な扱いの保証,(5)受託責任,投資者保護および財務報告の有用性の向上などを目的として行われていた。リスク情報は,即座に財務諸表の本文の数値に反映されるとは限らないため,非財務情報あるいは定量的情報を織り込んだ記述的(定性的)情報としても注記や財務諸表外で開示されていることが明らかになった。
財務報告におけるリスク情報の積極的な開示が行われている背景としては,現代社会における経営環境の不安定さに伴い,(1)企業経営におけるリスク・マネジメントの重要性が増してきたことと同時に,(2)その情報開示の有用性が社会的に認められるようになってきたことがあげられる。そのリスク情報を財務素表の数値に積極的に反映させようとしているのが国際財務報告基準(IFRS)の特徴であることを本研究では明らかにした。
IFRSでは,当該事象の生じる可能性がより確実でなくても,その認識に伴うリスク/不確実性が現在割引価値等の公正価値測定の中で調整できれば財務諸表に計上できるようになってきているため,財務諸表の範囲は拡大している。換言すると,これまで計上されなかったリスク/不確実性の高い事象も財務諸表で開示されるようになってきている。
偶発債務のように,例えば,認識と測定の要件を満たす財務諸表の本文での引当金計上はできないが,認識に伴うリスク/不確実性の許容範囲に収まるものは注記で記載される。しかし,その許容範囲を超えるものについては財務諸表外情報の「事業等のリスク」などに記載されることになる。
テキストマイニング等による各種分析方法については,実験的な段階で大がかりな分析には至らなかった。したがって,リスク情報の類型,およびその予測可能性については,最終年度に本格的な分析を行う。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] リスク情報開示のあり方2011

    • 著者名/発表者名
      小西範幸
    • 雑誌名

      『企業情報開示システムの最適設計』「第2編 日本企業の持続的成長可能性と非財務情報開示のあり方」独立行政法人 経済産業研究所

      巻: RIETI Discussion Paper Series 11-J-014 ページ: 1-11

  • [雑誌論文] 財務諸表の表示のあり方に関する再検討2010

    • 著者名/発表者名
      小西範幸
    • 雑誌名

      會計

      巻: 第178巻第5号 ページ: 55-71

  • [雑誌論文] 財務諸表の構造と表示の一体性2010

    • 著者名/発表者名
      小西範幸
    • 雑誌名

      企業会計

      巻: Vo. 62 No.5 ページ: 97-106

  • [図書] 財務報告における注記の位置づけ-財務諸表と財務諸表外情報の区分の観点から-2010

    • 著者名/発表者名
      山崎秀彦編著, 小西範幸, 他9名
    • 総ページ数
      103-132(223)
    • 出版者
      同文舘出版(『財務諸表外情報の開示と保証』所収日本監査研究学会リサーチ・シリーズVIII)
  • [備考] 独立行政法人 経済産業研究所

    • URL

      http://www.rieti.go.jp/jp/index.html

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公開日: 2012-07-19  

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