平成21年度は、特に1990年代以降、急速に成長してきた機関投資家とコーポレート・ガバナンスの関係を歴史的・動態的に把握するために、機関投資家、株主保護、アカウンタビリティー(会計責任)、ストック・オプション制度・会計基準等を、コーポレート・ガバナンスの視点から、日本や海外の重要文献を渉猟し研究することができた。 また、「経済社会の変容と時価会計」というタイトルで、大分会計学研究会(大分大学主催:平成21年7月8日)、武蔵大学会計研究会(武蔵大学主催:平成21年7月25日)、および会計学サマーセミナーin九州(九州大学主催:平成21年8月9日)で報告した。そして、これらの研究会での意見交換会を踏まえて、会計理論学会第24回全国大会(拓殖大学主催:平成21年10月17日と18日)で報告してきた(タイトルは「経済社会の変容と時価会計」で報告した)。これらの一連の報告や質疑応答から得た研究成果は、受託責任(会計責任)目的の止揚の問題、コーポレート・ガバナンスと受託責任の関係性の問題、および財務報告の質の問題-例えば、相対取引での金融商品の時価の在り方の問題-等を自分なりに整理できたことである。 さらに、平成22年3月に、会計目的、資本概念、利益概念、およびコーポレート・ガバナンスと会計問題等についてインタビューを実施した。今回は3社しかできなかったが、公認会計士や企業の取締役に直接インタビューし多くの知見を得ることができた。これも大きな研究成果であった。
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