われわれの研究テーマは、グローバリゼーションと税制であり、その中でも特に本国還流税を研究しています。本国還流税とは、平成21年度税制改正以前において、内国法人である親会社が、外国の子会社から配当を受けた場合において、日本の法人税率が海外子会社等の所在地国の税率を上回っている場合には、その差額の税率分の課税を本国である日本で課税されていたことを指します。そのため、我が国の多国籍企業は、海外子会社等の利益を本国に還流せずに、国外に利益を留保する傾向があるのではないかと指摘されていたことから、平成21年度税制改正によって、外国子会社益金不算入制度が導入されました。 我々は、この税制改正の機会をとらえて、租税の影響を調査しようと試みています。本年度は、3年計画の1年目であったことから、おもにアメリカにおける先行研究の文献研究を行いました。その結果、アメリカの研究は、HIA2004関連の研究、配当政策関連の研究、利益還流関連の研究、資金・財務関連の研究及び財務会計関連の研究に区分することが出莱まず。昨年度は、このうち財務会計関連の研究を参考にして、我が国の企業行動を実証分析し、学会報告を行いました。
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