本研究は、上場企業のMBOおよび上場子会社の買収に伴う利益調整を財務諸表上のデータから分析を行い、その特質を明らかにしようとするものである。現在までのところ、上場企業のMBOおよび上場子会社の買収に伴う利益調整についての研究は行われていない中、初年度は意義の大きい研究の準備に着手した。 本研究においては、会計実証研究において通常利用されるデータベースを使用し、研究対象となる企業の財務諸表および株式のリターンのデータなどを抽出することにより、詳細な分析が可能となる。そのための第一歩として、上場子会社およびMBOのデータベースの作成を開始した。研究補助アルバイトの雇用により、上場企業のMBOおよび上場子会社の買収のデータを日経テレコンなどから抽出し、そのデータベースを作成し、一定の完成をみた。その作成にあたっては、MBOに関する先行研究の研究者からも情報・データを得るなど研究の万全を期した。 また、海外の研究者ともe-mailや電話などにより意見交換を行ったほか、海外の学会に参加した際面談を行い、研究の方向性についての情報を得た。また、国内の実証研究についても情報の収集を行った。 上場企業の子会社については、その是非について政策的な議論が行われている。また、MBOについては、引き続き株主から訴訟が起こされている案件もあり、本研究の意義はさらに高まっていると考えられる。今後、実証分析を進めていく中で有意義な結果が得られるように、さらに効率的な研究の遂行を心がけていく予定である。
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