本研究の第二年度は、3年間の研究期間の中で、調査・分析研究を行う期間となる。本年度は、当初の研究計画を研究の進捗状況に従い修正しつつ、これまでの基礎理論研究を基にして、解約不能な契約上の支払義務の資本化が監査人やアナリストの判断に及ぼす影響について、共同で研究を行った。具体的には、第一に、契約上の支払義務の会計処理の理論分析を行うとともに、現在「開示」されている項目について、未履行契約の概念に照らして取引形態別に整理・分類することを通して、性質分析を行った。第二に、現在「開示」されている項目のうち、資本化の対象とすべき項目を拾い出し、資本化される場合の影響分析を行った。とくに、資本化される契約上の支払義務に関して、「認識」と「開示」とで監査判断にどのような影響が出るか、またその情報がどのような意味を持つことになるか理論分析を行った。第三に、前年に引き続き、リース会計、退職給付会計、公正価値会計などこれまでの「開示」のみであった項目が認識の対象となるよう検討されている制度改正の状況について、日本、米国、ドイツにおいてどのような理論分析が行われているか調査・検討した。これらに加え、契約上の支払義務に関する会計処理方法の実態調査を行い、当該項目の財務諸表本体に計上に関する事例研究とデータの収集をとおした理論分析を実施した。第四に、以上の検討点に関して、とくにIFRSの適用国の研究者との意見交換の必要性から、次年度の研究活動上の協力者を探索・要請する準備作業を行った。
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