• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

強制監査法人交代の効果に関する実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 21530480
研究機関明治大学

研究代表者

加藤 達彦  明治大学, 商学部, 教授 (20204480)

キーワード実験会計学 / 監査人の独立性 / 監査法人 / ゲーム理論 / 実験経済学 / 監査論
研究概要

会計監査人と経営者の癒着を防ぎ,会計監査人の独立性を高める手段として,監査法人の定期的な強制交代制度が欧米で注目され,イタリアのように部分的に実施されている国もある。本研究では,この制度の独立性に対する効果を,ゲーム理論による簡単なモデルを基礎に,実験により検証した。実験では次の4つの市場で,学生に経営者と監査人を演じてもらい,パーフォーマンスに比例して報酬を支払う形で実施した。4つの市場とは,経営者がいつでも自由に監査人を交代できる自由市場(1),経営者が3期間だけ監査人を交代できず,それ以後は自由に交代可能な留保市場(2),経営者が最大3期間までしか同じ監査人と契約できない交代市場(3),および経営者が3期間ごとに必ず監査人を交代しなければならない留保交代市場(4)である。各市場では,4大監査法人による寡占の状況も踏まえて,経営者1名に対して監査人4名が待機する形にし,覆面化に十分配慮した。
監査人は,監査証拠収集の努力をするか否かのみが選択できる。努力を選択しないと,経営者の資産の品質に関する決定的な証拠をより得られにくくなる。決定的な証拠が得られない場合は,監査人が経営者に有利な報告をするという設定にした。監査人が資産の品質を正しく評価した監査報告をしたいのなら,努力を選択することが望ましい。なお監査人は,誤った監査報告をすると必ず罰金を科される。経営者は,監査人が自分に有利な監査報告をしないと,一銭の儲けにもならないので,自分に有利な報告をしなかった監査人を解雇して新しい監査人を雇うことができる。監査人は解雇されると報酬がゼロになるので,意図的に監査証拠収集の努力を回避して,独立性に反する選択をする可能性が出てくる。今回の実験では,(4)の市場で監査人の独立性に反する選択が有意に減少し,強制交代制度の独立性に対するプラスの効果が確認できた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 強制監査法人交代の制度化と監査人の独立性-実験による検証-2010

    • 著者名/発表者名
      加藤達彦
    • 雑誌名

      會計 177巻

      ページ: 48-62

  • [雑誌論文] The Effect of Mandatory Retention and Rotation Requirements on Auditor's Independence2010

    • 著者名/発表者名
      加藤達彦
    • 雑誌名

      明大商学論叢 92巻3号

      ページ: 1-16

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 我が国における限定付監査意見と監査意見の不表明-事例研究による分析-2010

    • 著者名/発表者名
      加藤達彦
    • 雑誌名

      明大商学論叢 92巻4号

      ページ: 1-24

    • 査読あり
  • [学会発表] 強制監査法人交代の制度化と監査人の独立性-実験による検証-2009

    • 著者名/発表者名
      加藤達彦
    • 学会等名
      日本会計研究学会
    • 発表場所
      関西学院大学
    • 年月日
      2009-09-03
  • [学会発表] Experimental Investigations of Internal Control Transparency2009

    • 著者名/発表者名
      Tatsuhiko Kato
    • 学会等名
      European Accounting Association
    • 発表場所
      フィンランド・タンペレ
    • 年月日
      2009-05-14

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi