当研究は、非営利組織の会計に企業会計的手法が急速に取り入れられている現状に鑑み、その理論的側面、実務的側面を検討して、企業会計的手法導入の意味・効果・方向性ついてアカウンタビリティの視点から研究するものである。なお、非営利組織体の組織形態や事業内容は多様であるため、特に病院に研究対象を絞り、具体的な研究成果に結び付けやすくしている。 研究初年度に当たる本年度においては「研究計画・方法」に記載したとおり文献調査、アンケート調査準備、ヒアリング調査、専門家・実務家との意見交換をおこなった。特に本年度集中して行ったのは国内ヒアリング調査である。地方独立行政法人化した北松中央病院(長崎)、岡山県精神医療センター、桑名市民病院(愛知)、山形・酒田病院機構、静岡県立病院機構などを訪問し、企業会計的手法を大幅に取り入れた地方独立行政法人会計基準の実務的課題・アカウンタビリティの改善点などについて意見交換を行った。その結果、共通的にみられる課題として「資本の部」の構成要素と補助金の会計処理等があることが判明した。 資本の部の構成要素としては、損益外減価償却累計額に焦点を絞ってとりまとめ、別添「業績」に記載したように学会誌に寄稿した。また、補助金の会計処理としては、海外の動向を調査し、国際会計基準の処理方法をとりまとめ、別添「業績」に記載したように図書に所収した。 また、翌年度行う予定のアンケート調査の準備として、上記病院訪問の際にアンケート調査事項について、確認・調整するなど、行う調査が実務的需要に合うものとなるよう準備を進めた。 文献研究については、必要資料を入手・読込みを行い、その成果の一部を学会誌・図書で公表するとともに、今後の研究の基礎として継続的に行っている。 以上のように、本研究は当初の予定通り順調に進めている。
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