研究概要 |
当研究は、非営利組織の会計に企業会計的手法が急速に取り入れられている現状に鑑み、その理論的側面、実務的側面を検討して、企業会計的手法導入の意味・効果・方向性についてアカウンタビリティの視点から研究するものである。なお、非営利組織体の組織形態や事業内容は多様であるため、特に病院に研究対象を絞り、具体的な研究成果に結び付けやすくしている。 研究2年目に当たる本年度においては、「研究計画・方法」に記載したとおり、文献研究、ヒアリング調査、アンケート調査、成果の公表を行った。 ヒアリング調査は、まずアメリカ・カリフォルニア州において、行政(Centers for Medicare and Medicaid Services,Region Office(San Francisco))、研究者(Dr.Hagigi,Professor,Department of Health Services,UCLA)、病院(Sharp Coronado Hospital)などを訪問し、病院会計制度の仕組みと問題点、資金調達の現状と課題などについて資料収集・意見交換等を行った。会計制度と資金調達の相関関係など、今後の研究に示唆を得る知見を得ることができた。次に国内において、京都市保健福祉部総務課などを訪問し、本年度中に独立行政法人立病院への移行が予定されている京都市立病院の財政状況.移行に当たっての会計上の課題等について資料収集・意見交換等を行った。資産評価や繰入金の扱い等に関して、当研究の問題点の絞り込みに示唆を得ることができた。 アンケート調査は、地方公営企業法全部適用、一部適用、地方独立行政法人による病院236に対して実施した。回収率は35%であった。この結果に関しては、現在分析中である。 成果については、日本計画行政学会第33回全国大会において報告「地方独立行政法人会計における純資産の部の課題一自治体病院を例として-」(2011年9月11日札幌大学)を行った。 以上のように、本研究は当初の予定通り順調に進んでいる。
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