現在、非営利組織体の会計に企業会計的手法が急激に取り入れられている。当研究では、そのことの意味・効果・方向性について、理論面、実務面から、アカウンタビリティを視点として検討してきた。なお、具体的研究対象については、病院に絞っている。 研究最終年度に当たる本年度においては、交付申請書の「研究計画・方法」に記載したとおり、「1、アンケート調査の集計・分析」、「2、ヒアリング調査」、「3、文献研究」、「4、意見交換」の諸点について確実に実行した。具体的には、「1、アンケート調査の集計・分析」については「病院の経営等に関するアンケート調査」を行い(調査対象239病院、回収率31.0%)、調査結果を報告書として取りまとめ、回答病院にフィードバック(報告書の送付)を行った。「2、ヒアリング調査」については、名古屋、大阪、京都を訪問し、アンケート回答病院を中心に実情調査を行った。「3、文献研究」については、内外の非営利組織の会計についての理論的・実務的文献を読み込んだ。また病院団体が発行する資料など、より内部情報資料も入手することによって実情と課題の集積に努めた。「4、意見交換」については、財務会計研究学会、会計研究学会、日本社会関連会計学会等における関係領域の研究者との意見交換のみならず、病院経営と関連の深い製薬企業などとも価格設定についての意見交換を行った。 また、厚生労働省の中央社会医療保険協議会の委員として、行政担当者、保険支払者、医療提供者との具体的な意見交換を行う機会を潤沢に得るとともに、情報収集を行うことができた。このことは、本研究の課題である病院会計の理論的・実務的課題の抽出や方向性の検討に大きく役立つものであった。さらに、本研究の知見を政策の場にも役立てることにつながったため、大変意義があった。
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