研究課題
本研究では、国際的にその社会的・経済的影響が極めて大きくなった、金融商品のリスクや不確実性の程度を明らかとする格付け情報等の保証効果について、国際的視点に立って法的・経済的観点から分析することために、以下の具体的目的を設定した。種々の金融商品のリスクに関する情報には、各国において制度的には格付けや監査情報として存在しており、投資者が安全に金融商品取引を行なうためにも、これらの情報は不可欠となっている。そこで、(1)金融商品取引を誘引するためのリスクに関する情報の役割、(2)事後的に生じるリスクの顕在化、すなわち損害の発生に対してリスクに関する情報(保証情報)が持つ効果、(3)開示が望ましいリスクに関連する保証情報の内容と特性、及びその保証水準、を明らかにすることを目的とした。本年度は、わが国では未だ体系的な研究も訴訟自体も存在しない格付機関に対する損害賠償請求訴訟として、アメリカにおける代表的な訴訟事例と、監督機関である証券取引委員会(SEC)による行政処分事例などを加えて、それらの判決・処分内容の検討・分析を行なった。その結果、格付け機関に対する格付けや保証に起因した訴訟や処分という発現パターンから、格付けと保証情報(監査報告を含む)による信頼性の付与が保証効果として株式や社債等の証券価格の形成や、その後の賠償額にどのように影響するのかについて検証した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)
企業会計
巻: 63 ページ: 193-199
Accounting, Business & Financial History
巻: 20 ページ: 317-326
巻: 62 ページ: 52-60