本研究は、連結会計情報の有用性について実証的に検証することを目的としている。本年度は、近年における連結会計に関する新しい会計基準の公表後、連結会計情報の価値関連性がどのように変化したのかについて明らかにするため、次のような準備的な研究を行った。 (1)回帰分析モデル構築の準備として、会計および株価のデータベースから必要な財務データおよび株価データを検索し入手した。 (2)連結のれんおよび少数株主持分に関する文献を収集し理論的研究と制度的研究を行うとともに、連結のれん、連結のれん償却費、少数株主持分および少数株主損益の価値関連性に関する先行研究のレビューを行った。 (3)連結会計情報と株価との価値関連性を反映するさまざまな要因を考慮して、回帰分析モデルを構築した。 (4)回帰分析モデルの構築と研究上の有益な示唆を受けるため、夏期に英国ウォリック大学ウォリック・ビジネス・スクールのRob Bryer教授および米国ウスター・ポリテクニック・インスティチュートのHiggins准教授のレビューを受けた。 (5)財務報告の主体と範囲について研究を行い、連結基礎概念、グループ報告事業体、および連結範囲について検討し、その成果を発表した。
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