四半期決算情報を活用して、経営者の財務行動を説明することが研究課題である。在庫管理の適正化が業績改善に資する点および売上債権と仕入債務の適切な管理が資金管理に資する点が経営実務の基礎知識と位置づけられている。しかしながら、会計学者がこれらを明確に関連づけて研究教育に従事しているとは思われない。そこで、3ヶ月毎の棚卸資産、売上債権、そして仕入債務との関係に着目し、上述の妥当性を実証したい。本研究が財務報告と投資家との関連性を強く意識している国際財務報告基準の趣旨に合致するとともに公表が制度化された四半期財務諸表に対する今後の体系的研究のための予備研究として位置づけることができる。 前述の研究課題に基づいて、本年度に行ったことはDINET(Electronic Disclosure for Investors' Network)またはサンプル企業が公開しているホーム・ページから四半期連結決算短信を入手し、財務数値をエクセルに入力することであった。加えて、先行研究を調査・収集し、当該テーマの進捗状況と検討すべき課題の確認を行うことが本年度に行う作業であった。 研究の進捗状況は次の通りである。研究計画通り、必要な連結決算短信を入手し、必要な財務数値をエクセルに入力することができた。加えて、共同研究として、先行研究のうち、「選択」または「意思決定行動」に関連する文献研究を行うことができ、紀要に公刊した。 次年度は先行研究の調査を引き続き行うとともに、すでに作成したデータ・ベースを用いた実証分析を行うことである。財務数値の追加入力を行うことによって、データ・ベースの充実を図り、研究の拡張を目指すことが次年度に行うことである。
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