"経営者報酬"と企業経営成果との関連性を調査研究するという目的に向かって、これまでの先行的実証研究の調査に約2年を費やした。2011年10月10-11日には、デンマーク国コペンハーゲンのCopenhagen Business Schoolにおいて開催された"Conference on Executive Compensation after the Financia lCrisis(金融危機後の役員報酬についてのコンファレンス)"に出席することが出来た。そこで、米国・ドイツ・デンマーク等の国々からの出席者との情報交換により、本題に関する調査研究は、さらに進展した。一方で、経営者報酬と企業成果ならびに(コーポレート・ガバナンスの代理変数として)株式所有比率データを、上場企業1060社の2005~2010年にわたるパネルデータをもとにモデル開発に努めた。その成果として、帝塚山大学経済・経営情報学部ディスカッション・ペーパー・シリーズJ-009(2012年3月刊)において、「経営者報酬と企業成果についての実証分析-そのパイロヅト調査の結果-」を発表した。他方でさらにサンプルの追加を行って、別な統計的手法(たとえば"四分位回帰"法)を用い、より説明力をもつモデルの開発に向かっている。また、経営者報酬開示に関する新たな制度化が始まってから、年数も充分に経過していないので、コーポレート・ガバナンスに関する制度化と実際面での動向にも注目しつつ、成果報酬のインセンティブ効果の有無に関して、一層の調査研究を継続していく所存である。とりわけ株価連動型報酬(例:ストック・オプション)と企業成果との関連性について、サンプル数も未だ少数かつ金額的にも低い現状を鑑みて、それらの動向に注目したい。
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