本年度は4年間にわたる研究期間の初年度なので、5つの研究課題のうち、次の課題を実施した。 I「第1の近代から第2の近代へ」をめぐる社会学理論の検討 モダン社会の変質を、ベックは「第1の近代から第2の近代へ」一というフレーズで的確に表現している。このフレーズの内実をなすのが、ギデンズ、ベックのいう「再帰的近代化」である。そこで「再帰的近代化」概念の検討を通して、「再帰的近代化」がリスク社会論と関連していることを明らかにした。 さちに再帰的近代化が、第2の近代の社会変動の趨勢である「個人化」.「保守化」の趨勢と関連しているので、学生を対象にした意識調査(大学生・専門学校生を対象にした質問紙調査、1024名分のデータを回収)を実施し、日本の若者における「個人化」と「保守化」の趨勢を検討した。その結果、ネオリベリズム思想に支えられてグローバリゼーションが浸透するかで、日本の若者に現状を肯定し、日本の文化や伝統を尊重するという意味での「保守意識」が強まっていることが明らかになった。
|