本年は、リスク監視と個人化に関する研究のうち、特に、「個人化」についての基礎的論考にエネルギーを裂いた。これをテーマ化した論文として、『個人の<個人化>と主体の奸計-「個人」ということ-』を執筆し、論文として公表した。 また、これとは別に、「<個人と社会>再考-「と」の理論と現在」と題して、京都大学グローバルCOE研究会でも報告を行った。更に、デュルケーム・デュルケーム学派研究かいにおいても、「モナドロジーと社会学-意識システムとモナド-」と題する研究報告を行った。 「<個人と社会>再考-「と」の理論と現在」については、同一テーマで論文を執筆済みであり、間もなく出版予定である。「モナドロジーと社会学-意識システムとモナド-」ついても、既に脱稿済みで、来春刑行予定の研究科紀要に寄稿する予定である。 これらの成果に基づいて、現在、単著『社会の思考-リスクと監視と個人化-』を執筆し、間もなく出版予定である(学文社、2010年4月刊行予定)。 本年度は、研究第一年目であり、当初から、基礎的論考に取り組むことを心がけてきたが、予想以上に研究が進展し、単著を執筆するまでに至った。来年度は、この結果をまとめて、日本社会学史学会大会50周年記念シンポジウムで報告する。また、単著として出版した著作を専門講義でも使用し、研究成果の授業への還元ならびに学生の啓発として、教育にも生かしたい。
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