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2010 年度 実績報告書

階層意識形成過程の数理社会学的解明

研究課題

研究課題/領域番号 21530500
研究機関学習院大学

研究代表者

數土 直紀  学習院大学, 法学部, 教授 (60262680)

キーワード階層帰属意識 / 一億総中流 / 格差社会 / 時間・空間 / 相対的不満 / 地位継承効果
研究概要

本年度の研究成果としては、主として以下の2点を挙げることができる。
第一に、階層意識が空間化されるメカニズムと、そのメカニズムの時代的変化を明らかにすることによって、階層意識の観点からも"一億総中流社会から格差社会への変化"を説明することが可能になった。
1980年代は、人びとは周囲の身近な人だけとの比較で自身の階層的地位を判断していたために相対的不満(もしくは相対的満足)のメカニズムが働き、恵まれた階層に属する者もそうでないものも"中"に帰属する傾向が強かった。しかし1990年代・2000年代になると、人びとは社会全体のなかでの自身の階層的地位をより正確に判断するようになり、その結果として相対的不満(もしくは相対的満足)のメカニズムが消え、人びとの意識上においてもはっきりとした階層的輪郭が現れるようになった。
第二に、地位継承効果が階層帰属意識分布の変動に与える影響を、数理モデルをもちいたより精度の高いシミュレーションをおこなうことで明らかにすることに成功した。
これまでの数理モデルでは、大学進学率についてやや単純化された仮定(したがって、やや非現実的な仮定)をおいていたために、地位継承効果が階層帰属意識分布の変動に与える影響を十分に明らかにすることに成功していなかった。しかし、大学進学率についてより現実の動きを反映した仮定をおくことで、階層帰属意識分布の変動をより正確に再現できることを明らかにし、"地位継承効果が戦後日本社会の階層帰属意識分布の変動に影響を与えていた"という説明への強い傍証を得ることに成功した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 社会意識がもつ時間の厚みについて 階層帰属意識の変化のシミュレーションによる再現2011

    • 著者名/発表者名
      数土直紀
    • 学会等名
      数理社会学会
    • 発表場所
      沖縄国際大学
    • 年月日
      2011-03-09
  • [学会発表] 階層意識の多次元的構成 階層構造・時間・空間2010

    • 著者名/発表者名
      数土直紀
    • 学会等名
      数理社会学会
    • 発表場所
      獨協大学
    • 年月日
      2010-09-10
  • [学会発表] 階層(帰属)意識研究の流れと今後の課題2010

    • 著者名/発表者名
      数土直紀
    • 学会等名
      ISMシンポジウム『階層意識研究と社会調査』
    • 発表場所
      統計数理研究所
    • 年月日
      2010-08-09
  • [図書] 日本人の階層意識2010

    • 著者名/発表者名
      数土直紀
    • 総ページ数
      246
    • 出版者
      講談社

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公開日: 2012-07-19  

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