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2011 年度 実績報告書

階層意識形成過程の数理社会学的解明

研究課題

研究課題/領域番号 21530500
研究機関学習院大学

研究代表者

數土 直紀  学習院大学, 法学部, 教授 (60262680)

キーワード階層帰属意識 / 地位継承 / 社会変動 / 婚姻上の地位 / 権力
研究概要

本年度は、昨年度において精緻化を試みた階層帰属意識に対する地位継承効果の数理モデルを、社会調査データをもちいて検証することをまず試みた。1955年から2005年のSSM調査データをもちいた分析の結果は現実にも地位継承効果が人びとの階層帰属意識の形成に影響を与えていることを明らかにしており、モデルの有効性に対する肯定的な結果をえることができた。
また分析の結果は、地位継承の効果以外にも、社会変動にともなって生じる社会的地位(ここでは、学歴)の象徴的な価値の変化が階層帰属意識に対して影響を及ぼしていることも明らかにしていた。そこでこの点に注目し、社会変動にともなう社会的地位の象徴的な価値の変化が階層帰属意識に与える影響を捉えるために、婚姻上の地位に着目した分析をおこなった。
1985年SSM調査データとSSP-I 2010データをもちいて分析をおこなったところ、「結婚年齢のばらつきが小さく、生涯未婚率も低かった」1985年の段階では婚姻上の地位は階層帰属意識に対して統計的に有意な影響をもっていなかった一方で、「結婚年齢のばらつきが大きく、生涯未婚率も高くなった」2010年の段階では婚姻上の地位が階層帰属意識に対して統計的な有意な影響をもつようになったことを確認することができた。このことは、未婚化・晩婚化という社会変動にともなって結婚を社会的地位の一つとしてみなす人びとが現れてきていることを示唆している。こうした実証的な事実を踏まえたうえで、社会的地位と階層意識との関連のしかたが社会変動とともにどのように変化していくのか、このメカニズムの理論化が今後の課題となろう。
最後に、本年度は論文「階層意識と権力」(『社会学を問う』所収)を著し、権力という概念を軸とし、人びとの意識をマクロの視点を通して相対化するという観点から、階層帰属意識研究のもつ社会的な意義について論じた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [学会発表] 女性の労働参加が所得格差に与える影響について数理モデルによる検討2012

    • 著者名/発表者名
      数土直紀
    • 学会等名
      第53回数理社会学会大会
    • 発表場所
      鹿児島大学
    • 年月日
      2012-03-14
  • [学会発表] 未婚者の階層意識結婚は地位達成なのか?2011

    • 著者名/発表者名
      数土直紀
    • 学会等名
      第3回階層意識研究会
    • 発表場所
      東北大学
    • 年月日
      2011-12-27
  • [図書] 社会学を問う:規範・理論・実証の緊張関係2012

    • 著者名/発表者名
      米村千代・数土直紀(編)
    • 総ページ数
      236
    • 出版者
      勁草書房
  • [図書] 『現代の階層社会3』(第2章「高学歴化と階層帰属意識の変容」を執筆)2011

    • 著者名/発表者名
      斎藤友里子・三隅一人(編)
    • 総ページ数
      17-30
    • 出版者
      東京大学出版会

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公開日: 2013-06-26  

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