研究課題/領域番号 |
21530502
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
鈴木 宗徳 法政大学, 社会学部, 准教授 (60329745)
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研究分担者 |
伊藤 美登里 大妻女子大学, 人間関係学部, 准教授 (10406845)
石田 光規 大妻女子大学, 人間関係学部, 講師 (60453495)
仁平 典宏 法政大学, 社会学部, 講師 (40422357)
丸山 真央 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (80551374)
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キーワード | 個人化 / 社会変動 / 再帰的近代化 / ベック / バウマン |
研究概要 |
ベックやバウマンが用いる「個人化」概念を用いて、現代日本の社会変動を包括的に分析することを目指した。その成果は主として、以下の二つの英語論文(いずれも未公刊)と一つの英語学会発表にまとめられた。 1.論文"Individualizing Japan : Searching for its Origin in First Modernity"では、1970年代を典型とする日本社会に特有のリスク処理形式を企業中心主義と開発主義のセットであると説明し、日本が他の福祉レジームとは異なる独自の近代化を遂げたことを論証した。また、この時期を頂点とする"ファースト・モダニティ"から1990年代後半以降の"セカンド・モダニティ"への以降を個人化の過程として論じ、80年代における主観的個人化の時期を経て、90年代以降のグローバル化の進展によって客観的個人化が進展したと説明した。 2.論文"The Individualization of Relationships in Japan"では、家族・仕事・地域という三つの領域における個人化の現状を、計量的データを用いて分析した。近年における個人化の過程を分析すると、その「解放の言説」としての側面が受容される一方、人間関係の希薄化や関係不安の昂進といった「剥奪の言説」の側面からは逃れたいとする心性が観察される。そのさい、旧来型の家族関係や仕事関係にすり寄る姿勢が見られ、新たな自律的関係が形成される糸口を見出すのは困難なのが現状であると結論づけた。 3.学会発表"Acceptance of Beck's Theory in Japan : From Environmental Risk to Individualization"では、日本におけるベック理論の受容について、時期ごとにその特徴を論じた。ベックによる環境リスクの分析については、90年代における環境問題への関心の高まり、そして地域における住民投票などの運動があったため、受容は急速に進んだ。個人化については、91年のバブル崩壊以降の生活不安の高まり、そして未婚率・非婚率や離婚率の高まりとともに、家族社会学や福祉社会学の領域で受容が進んだと説明した。
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