D. グレーバーが指摘するように、新自由主義的なグローバル化への抵抗運動は、その抗議者が「すでに自由な社会に生きているかのごとくふるまう」ことで、抗議者に、来るべき社会を予示的にかいま見させるという特徴があり、このような運動の戦略は、運動を単なる手段とみなす従来の考え方と区別され、予示的政治と呼ばれる。本研究は2008年の日本における反G8行動によって促された日本の運動における予示的政治の浸透を検討し、その条件としてセイファー・スペース等の「下部構造」の創出の重要性を指摘した。さらに予示的政治の空間を、資本の外部としてのコモンズを体現するものとして指摘した。
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